あたしはずっと待ちつづけているのかもしれない。


馬鹿みたいに、ずっと。














”あの日”交した『約束』が守られる日を。






















【あの日、僕と君とで交した約束。】





















約束を交したのは六年前で、お互い13の時。






幼馴染達は旅に出た。













彼等は、今は亡き母親との思い出が詰まった家を…………帰ってくる場所を燃やし、


彼等が”軍の狗”になったことを示す銀時計には、彼等が決して忘れてはいけない日を刻み付け、


彼等は、”代償”を引き換えに得た知識と、地図などの旅道具を詰めた小さなトランクだけを持って、












彼等は後ろを振り向くことなく…………前だけを向いて……………旅立っていった。












旅に出ることは、もちろんのこと予告されていた。

さすがに、明日からずっといなくなることを告げないほどあたし達の仲は悪くも薄れてもいなかったし、彼等もそこまで礼儀知らずではない。





彼等が師を見つけ、知識を得るために留守にしていた時を除けば、あたしと彼等と親友は小さい頃からずっと一緒だったのだから。













彼等はただひとつの目的のために、決意を固め旅立っていった。












そのことはいいのだ。

彼等自身が決めたことであって、あたしにそれを止める権利は持ってはいなかったし、例え持っていたとしても…………











………………彼等はきっと聞かなかったから。










ただ漠然としすぎていて………そのときは分かって頷いていても、次の日には悲しさで親友とともに涙し、親友の祖母を困らせたものだった。



















彼は旅立つ日の前日に、あたしのところを訪れ、言った。









『俺達の旅はきっと長くて、辛くて、厳しくて、正直終わるか分からないものだ。』

『でも、俺達は行かなきゃならない。』

『自分達が背負った罪だから。』

『長いこと、こっちには帰ってこれない。』

『だから、お前にこんなことを言うんだ。……お前は多分、困ることかも知れぇけど。』













『俺達の目的が達成されたときに、お前に言いたいことがあるんだ。』


『それまでは、言いたくなっても言わないつもりだ。』













『何度か、こっちに帰ってくると思う。……右腕のこともあるし。』

『でも、』
















『なるべく会いに来ないでほしい。』














『最初にも言った通り、俺達の旅は辛いものだから………きっとお前に甘えてしまう。』

『"言わない"って決めてても、どうしようもなくなって言いたくなるかもしれないから。』















『でも、』














『どうしようもなく会いたくなったら、我慢しないで会いに来てくれると嬉しい。』


『俺も、どうしようもなくなって、会いたくて会いたくて仕方なくなったら、お前に会いに来るから。』

























『約束…な。』
























その約束を交した次の日、彼等はあたしの前からいなくなった。























『約束』を交してから、今日で六年目。







あたしは、それから一度も彼に会ってはいない。






親友は、彼の右腕の調子を見るために何度も会っていたらしいが、あたしは頑固として会いに行かなかった。
















彼が会いに来ないのに、あたしが会いに行けるものか。














………なかば意地だったのかもしれない。

親友は気を利かせて、彼にあたしのところを尋ねるように言ったらしいのだが………いいのだ。










彼があたしに会いに来ようと、来まいとも



『約束』を忘れていようと、いまいとも













あたしは”彼”との『約束』を守りつづける。
























今日は珍しく親友が夕飯を食べにくる約束だ。

彼女のリクエストでシチューを作りつつ、玄関の扉をたたかれるのを待っている。

作業も一段落ついて、ゆっくりしようとお茶を入れていると玄関の扉がたたかれた。






「はい。」






そう言って扉に手をかけると、外から扉を引っ張られバランスを崩し、扉の前に立っていた親友にぶつかった。






「っ、ごめんなさい。」






そう謝り、親友の顔を見上げると………そこには知らない青年がいた。






青年は、あたしの顔を見ると優しそうな笑顔を浮かべ、あたしを正面から抱きしめ、耳元に顔を埋めて言った。



















「ただいま、。」


























あたしのことをと呼ぶのは今は亡くなってしまった両親と親友と今まで会わなかった幼馴染だけで……



先ほどちらっと見た顔は、六年前にいなくなってしまった彼と似ているところも多々あって………



腰に回されている彼の右腕からは、痛いくらいに温もりが伝ってきていて……………




















「………おかえりなさい、エド。」
















あたしはそう言ってから初めて、彼の背中に手を回して、彼を抱きしめた。








しばらくそのまま抱き合っていたが、お互いここが玄関だということに気づいたのか、体を離しクスクスッと笑いあった。


そのとき細めた目から、涙が一筋零れ落ちた。


エドはそれを舌で舐めとり、そのまま、またあたしの耳元に顔を寄せ、囁いた。















「ずっと言いたかった言葉があるんだ。」













六年もの間、声も聞かないでいたせいか、耳元で発せられた声が心地よく感じられるのと同時に、"何か"が背筋を通り抜けていった。

そう囁いたエドは、あたしの額と自分の額をくっつけて、唇が触れそうになる距離で言った。


















「ずっとずっと……俺と一緒にいてくれ。」












「今までずっと我慢してきたんだ。もう離れたくない。」












「離したくないんだ。」





















そう言ってエドは目を伏せた。


さっきまでは笑顔だったのに、今浮かべている顔はとても辛そうで、何かを耐えているようにも見えて……


あたしはそんな顔を見たくなくて、してほしくもなくて、あたしが辛いでもないのにあたしまで苦しくなって……













背伸びをして、エドにキスをした。












なんでそうしたのか分からない。


でも、エドはそれに驚くのと同時にとても嬉しそうな顔をしてくれて………あたしは笑って、














もう一度……うぅん、何度も何度もキスをした。












触れるだけのものから、深く深く、お互いを貪るようなものまで。


唇を離したときには、お互い息が上がってたし、あたしの場合は腰に力が入らなくって、エドに支えてもらってなければ座り込んでたと思う……


エドはコツンッと額を合わせて、あたしの顔をずっと見つめて、小さい頃から悪戯を思いついた時に浮かべる笑顔を見せたかと思ったら、















「返事。”言葉”で示してくれよ。」













って。


あたしは恥ずかしくなったけど、答えは決まってたし、そうじゃなきゃあんな事出来ないし。


エドを目をまっすぐ見て、言う。


小さな声になっちゃったけどきっと聞こえてるから大丈夫。


















「あたしも、離したくないよ。」

















そう言って、エドの胸に顔を埋めた。























軌跡アザナさんより

19歳エド…を、想像して書いたのですが、偽者になってしまい誠に申し訳ありません。




軌跡アザナさんへ

エド夢小説の投稿、どうもありがとうございました!

19歳エドに告られちゃいましたよ〜もぅエド好きにはたまりませんねvvv

本当に感激ですぅ(^∀^)vvv

私はスラッと背の伸びた彼を思い浮かべたんですが、皆さんはどうでしょう( ̄▽ ̄?

19歳の彼…いったいどんな大人に成長してるんですかねぇ…妄想は膨らむばかりであります♪

本当に有難うございました!!


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